魍魎の匣

魍魎の匣 (上)
魍魎の匣 (中)
魍魎の匣 (下) (京極夏彦/講談社文庫)

「巷説百物語」シリーズが面白かったので、再び京極作品に挑戦。
「魍魎の匣」は「もうりょうのはこ」と読む、まずこのタイトルに惹かれた。

戦後間もない頃を舞台にしたバラバラ殺人などの猟奇的なミステリー。
巷説…と同じようにあちこちから攻めてきて1つにまとまるタイプの話なので、
序盤はコロコロ話が変わって何が何だか、という部分はあるかな。
それでもそれが収束していく快感というのは相変わらずいいもの。

上巻の終盤、京極堂のウンチクはものすご~く長かったけど、
宗教者と霊能者と占い師と超能力者の違い、興味深い解釈だった。
「占い師の看板を揚げている以上、占った後に先祖を供養しろだとか
 因縁がどうしたとか云い出すのは畑違いだね」
↑この言葉をそのまま細木ナントカさんに言いたくなるわ(笑)



事件を「動機」から攻めない、攻めてはいけないというのも斬新。
生まれ育った環境や人間関係も多少関係はあるだろうけど、
実際に行動に移すのは別、「通り物に触れたから」だと。
その表現が「逃げ」のようであって逃げではないのよね。

京極堂は京極夏彦の代弁者なんだろう、
いろんな知識をくどくどと長いこと話す場面が多々ある。
でもそれは単なる知識のひけらかしなんかではなくて、
いずれもいつの間にかストーリーに絡んでくる。

うん、この作品はかなり面白かった。
テーマや雰囲気が自分に合っているからというのもあるけど、
それ以上に京極夏彦の作る話の展開方法が合うのかもしれない。
これは他の作品も読んでみなければ…

# 嫌いな人は嫌いなんだろうけどね、この手のは(^^;
# そういう意味では好き嫌いのハッキリ分かれる作家かも。

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